BLOOD+ とある御曹司の休日 [ホストクラブ「ディーヴァ」]
その御曹司は地中海の別荘で休日を過ごしていた。「地中海の別荘」といっても、そこは超リッチなゴルトシュミット家、ひとつではなく、ニース、モナコ、マジョルカ島、クレタ島と渡り歩き、今はカプリ島の別荘に滞在していた。
庶民である管理人にはくわしく知る由もないが、カプリ島の別荘というのは絶対数が少ないのか、途方もなく高く、金持ち中の金持ちしか買えないそうである。
書斎には窓から柔らかな日差しが入っている。御曹司は今、「ローマ人の物語」という全15巻の大作を読破しているところである。
この日本人の塩野七生(シオノ・ナナミ)という作家の書いた歴史物語はなかなか面白い。
翼手との戦いが百数十年、それとてローマ帝国一千三百年の長き興亡に比べたら、つかの間の出来事かもしれない。
ニューヨークで勤めていた店のオーナーも読んでいたと言っていた。
「でもね、わたくし、ユリウス・カエサルの途中で挫折してしまったの。だって、あの本、重くて肩がこるんですもの」
笑いながらオーナーが言っていた通り、一冊がかなり厚くて重い。これで殴られたらかなりのダメージになりそうである。
ふわ、と軽いあくびがもれた。・・・彼は暇なのである。赤い盾長官をしていた頃は忙しさに追われていたものだが、翼手絶滅の悲願を果たした今、彼にはやることがないのである。
社会勉強にと勤めた店も、今は休暇中だし・・・。
そろそろかな、と彼は思った。
近いうちに電話が鳴るだろう。そうしてオーナーがはずんだ声で「お店を再開しようと思うの。ぜひあなたにも戻ってきてもらいたいの」と語りかけてくるだろう。
そうしたら休暇は終わりだ。ニューヨークへ戻ろう。
でも、その前にこの本を読破してしまわなければ。偉大なるローマ帝国の行く末を見届けたい。
ローマを中心とした西ローマ帝国はゲルマンの侵攻に滅び、イスタンブールを首都とする東ローマ帝国もまたオスマン・トルコの攻撃に敗れ去る。そして歴史の闇に沈んでゆく。
電話が鳴れば、執事が呼びに来てくれるだろう。だから、それまでは壮大な物語の世界にひたっていよう。
そう思った彼は再び机の上の書物に視線を落とした。
執事が「ジョエル様、ニューヨークからお電話です」と告げに来たのは、それからしばらくたってのことである。
事務方、敏腕マネージャー、ジョエル、お帰り~♪
おまけ:ジョエルはインテリですね。さすが御曹司! 日本語も堪能なようです。
他のメンツと違って、最後まで格調高くなりましたわ~(笑)
こんばんは~。やっと復帰しました、今年もよろしくお願いします~。
さすがジョエル、優雅な休暇ですねえ。塩野さんの小説、知ってはいますが・・・長いので手が出せずにいます。
by うさぎりんご (2007-01-08 22:38)
すごいです、トントさん、世界史好きっ、詳しいんですね~!
尊敬ですーーーー。
私・・苦手教科だったんですよ~!
ジョエルの別荘いいなあ~。今度はソロ様と別荘対決してほしい~!
(桁が違いますね・・!)
by てさ (2007-01-09 00:12)
凄すぎる~!!!日本史は漢字の名前なのでどうにかついていけましたが、世界史はカタカナアレルギーか(?)名前が覚えられず、しかも2世だ3世だとまどろっこしくて、全然だめでした(もういっそ爽やかなほど)映画で観る分にはついていけるんですけど...トントちゃんの知識にビックリです。
これはマダムとジョエル様にこうぎそてもらわなくっちゃ♪(コレが狙い)
by ちあこ (2007-01-09 05:25)
うさぎりんごさん わーい、復帰されて嬉しいです♪
こちらこそ、今年もよろしくお願いします。
塩野さんは最初私の方が好きだったのですが、そのうちダンナの方がはまってしまい、彼はあの重くて厚くて高い「ローマ人の物語」を全15巻買い揃えてしまいました。
私はといえば、上記の通り、途中で挫折したままです・・・。
てささん 数学や物理に比べれば、私には歴史の方がはるかにマシでした(典型的文型タイプだったので・・・)
カプリ島のジョエルの別荘、私も遊びに行きたーい!
ちあこさん だいたい学校の歴史の授業というのは面白くない! 映画とか小説とか漫画の歴史モノの方が、はるかに楽しいですよね。
なお私の歴史の知識はいーかげんなので、講義はジョエルにしてもらってくださいね♪
by トントちゃん (2007-01-09 13:01)